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咳・ぜんそく外来

ごあいさつ

鼻炎の皆様、長引く咳でお困りではございませんか?
でもこんなとき、耳鼻科?呼吸器内科?どっちに行けばいいのかお悩みの方はいらっしゃいませんか?

"one airway, one disease(ひとつの気道、ひとつの病気)"

という言葉があります。
鼻炎とぜんそく、一見別々の病気のようにみられますが、実はそうではありません。
鼻〜のど(上気道)と気管支〜肺(下気道)は一つの通り道でつながっています。
よく花粉症の患者さんが、鼻炎症状だけでなく咳も続くようになることがありますが、これは、花粉(アレルギー物質)が鼻から気道に入り、鼻だけでなく気道にも同じように炎症が起きて咳を引き起こすからなのです。
この考えを、one airway, one diseaseと呼びます。

実際に、アレルギー性鼻炎の約3〜4割がぜんそくを合併し、またぜんそくの約7〜8割がアレルギー性鼻炎を合併していると言われています。
鼻炎とぜんそくを別の病気と考えてどちらか一方だけ治療するのではなく、ひとつの病気として同時に治療することが重要なのです。
そうすることによって、お互いに治療効果が得られる、というのがこの言葉のポイントなのです。

そのためには、それぞれの専門医である耳鼻咽喉科と呼吸器内科が密接に連携して治療に取り込むことが大切になります。
院長 春田 友佳医師と副院長 濱田 彩佳医師との姉妹の密接な連携を生かし、悩んでおられる皆様のお助けになればと願っております。

咳・ぜんそく外来を受診される方へ

診療日
月曜と第2・4土曜の9:30〜12:30(完全予約制)
  • 当外来は完全予約制で初診対応はしておりません。
    まずは耳鼻咽喉科に受診していただき、それでも咳が治らずお困りの方は当外来へご案内させていただきます。
  • 当外来では、原則として満16歳以上(高校生以上)の方を対象に診療を行っております。15歳以下(中学生以下)の方は、お手数ですが小児科へご相談ください。ご理解ご協力の程よろしくお願いいたします。
  • 長期継続治療が必要な方や高度な専門治療が必要な方は、状況に応じてお近くのクリニックや総合病院にご紹介させていただきます。
  • 月曜午前以外は呼吸器内科医師不在のため、内科的な対応はできません。ご了承ください。

担当医師紹介

院長 濱田 彩佳

副院長

濱田 彩佳

(はまだ あやか)

  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器内科専門医
  • 日本結核病学会 結核・抗酸菌症認定医
  • 日本内科学会 内科認定医
  • 難病指定医
  • 所属学会
    • 日本内科学会
    • 日本呼吸器内科学会
    • 日本結核非結核性抗酸菌症学会
  • 略歴
    2008年
    近畿大学医学部医学科 卒業
    2008年
    育和会記念病院 初期臨床研修
    2009年
    大阪公立大学医学部附属病院 初期臨床研修
    2010年
    大阪市立十三市民病院 呼吸器内科
    2020年
    育和会記念病院 呼吸器内科
    現在は、大阪市内の病院にて呼吸器内科・一般内科・健診業務に携わる

咳ぜんそく

最近よく耳にする「咳ぜんそく」
長引く咳の原因として一番多いのが咳ぜんそくとされています。

「咳ぜんそく」と
「ぜんそく」の違い

どちらも空気の通り道である気道が過敏になって炎症反応をおこす病気ですが、「咳ぜんそく」は気道の炎症が軽いため、「ぜんそく」でみられる喘鳴(ヒーヒー、ヒューヒュー、ゼーゼー、喉の奥・肺のあたりで音がすること)や呼吸困難といった症状がなく咳以外の症状がないことが、「咳ぜんそく」の特徴です。

しかし「咳ぜんそく」を適切に治療しないと、30%の確率で「ぜんそく」に移行してしまうとされているため、早期診断・治療が大切なのです。

症状
  • 風邪をひいたあと、3週間以上も咳が続く
  • 喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)は伴わない
  • 寝る前、深夜、早朝に咳が悪化する
  • 季節の変わり目、悪天候、運動により咳が悪化する
  • 喉のイガイガ感やしめつけ感、詰まった感じがある
  • 咳止めや市販の風邪薬が効かない
原因

咳ぜんそくの原因は、好酸球(こうさんきゅう)という炎症を引き起こす白血球の一種が、何らかのきっかけで空気の通り道である気道(きどう)に炎症を起こすことにより、ちょっとした刺激で咳が出やすくなってしまいます。

咳ぜんそくは次のようなものがきっかけで起こります。

  • 風邪
  • ほこり、ダニ、花粉、動物の毛など
  • たばこの煙、黄砂、香水などの匂い
  • 寒暖差や天候の変化
  • 過労、ストレス など
診断

咳ぜんそくの診断基準は以下の7項目すべてに該当する必要があります。

  • 8週間以内に風邪などの感染症にかかっていない
  • 喘鳴のない咳が8週間以上続いている
  • 喘鳴を伴う気管支喘息にはかかったことがない
  • 胸部レントゲンで肺炎などの異常が見当たらない
  • 気道が過敏になって咳が誘発される
  • アレルギー物質などに反応して咳が出る
  • 咳に対して気管支拡張剤が有効を示す

しかし実際はこの項目が全てそろうことはなかなか難しいとされています。
また、1ヶ月程度の咳であれば、感染後咳嗽(風邪のあと咳だけが長引く)、鼻炎による後鼻漏(鼻水が喉に流れる)、などの似たような症状の病気も重なっていることも多く、長引く咳のすべてが「咳ぜんそく」とも限りません。

そのため、診断においてまず最初に重要なのは問診になります。
一人一人の背景や症状のパターンを丁寧に聞き取り、咳ぜんそくかどうかを考えていきます。

検査

血液検査

アレルギーの有無を調べる

胸部レントゲン検査

肺炎、肺がん、結核など他の病気の可能性を調べる(※CT検査は当院ではできませんので、必要時は紹介します)

呼気一酸化窒素濃度検査

呼気中の一酸化窒素の濃度を測定することで気道に炎症があるか評価し、ぜんそくの有無を診断する

呼吸機能検査

肺の機能や病気、気道閉塞の状態などを調べる

気管支拡張薬が有効かどうかを確かめる(治療的診断)

治療

咳ぜんそくは、咳止めや抗菌薬、風邪薬などは基本的には効きません。
治療の基本は、

  1. 狭くなった気道を広げて呼吸を楽にすること → 気管支拡張薬
  2. 気道の炎症を抑えること → 吸入ステロイド

この2つが中心になります。
よく吸入ステロイドの副作用を心配される方が多いですが、内服とは異なり気道に直接作用するため、全身的な副作用の心配はほとんどありません。
このほかにも、必要に応じて抗アレルギー薬なども追加しますが、治療の中心は吸入ステロイドと気管支拡張薬、ということをしっかり理解しましょう。

注意点

治療を開始してしばらくすると効果がみられ、数週間で咳は治ってきます。
ただここで注意しないといけないことがあります。
「咳が止まったのでもう治ったから吸入をやめても大丈夫」、と思われている患者さんが多くいらっしゃいます。
しかし実際には、症状がおさまっても気道の炎症はまだ残っているため、すぐにやめてしまうと容易にぶりかえしてしまいます。
また、中途半端な治療を繰り返していると、徐々に薬が効きにくくなり、咳ぜんそくの約30%の人が気管支ぜんそくに移行します。

再発を避けるためにも、最低でも3〜6か月程度の治療を続ける必要があるということを理解し、自己判断で薬をやめないようにしましょう。すぐに治ったと考えずに、気長に治療することが大切です。

日常生活で気をつけること

とにかくアレルゲンとなる刺激物質を体内に入れないこと、感染対策をしっかりすること、きちんとした生活習慣を取り入れること、に心がけてください。

  • 感染症を避ける(手洗い、うがい、マスク、予防接種など)
  • アレルゲン(花粉やホコリ、カビ、ペットの毛、など)を避ける
  • タバコの煙や香水などを避ける
  • 急激な気温の変化に気をつける
  • ストレスをためない
  • 食生活、アルコールの取りすぎに注意
  • 肥満に注意する

単なる咳、と思って咳止めだけで様子をみておられる方、また、吸入で良くなったからもう治療しなくても大丈夫と思っておられる方。 早めの発見、そして諦めずに根気よく治療を続けること、これが最も大切です。

なかなか治らない咳で悩んでおられる方の早期診断・治療に少しでもお役に立てられるよう、全力を尽くして診療にとりかかっていきます。